一度ヤッたからって、何も律儀に俺に通わなくていいんだぜ。
というか溜めに溜め込んでから来るんじゃねぇ。

「ッチ、……赤石、先輩よおっ…っぐあああ!」
声を上げようと口を開いた、同時にゴツンと腰が衝突。富樫はしわがれた悲鳴を上げて仰け反る。
「なんだ」
富樫の悲鳴が歓喜かそうでないか、すぐにわかりそうなもの。しかし赤石は平静に聞き返しながらも腰を進め続ける。
赤石の額にも汗が浮かんでいる、なにぶん女の柔壷のようなそこと違いギリギリと締め上げてくるのだ。余裕がさほどあるわけでもない。
敷くこと叶わなかった布団の端を掴み寄せてそれに指を食い込ませ、富樫は搾るような声を漏らした。
「は、はあっ…く、女を買えよ…」
「貴様が居るじゃねぇか」
何を馬鹿な、と言うように赤石は脇へ抱え込んでいた富樫の脚を手放すとかわりに骨盤の辺りを掴んだ。富樫がよせと止める間も無く引き寄せるようにして繋が りを深める。ずぶりと赤石の刀身全てが富樫へ沈み込み、届いていなかった奥を抉られた。
「うああッ――、あ、ああ・あああ!!」
「だらけてるんじゃねぇ」
短い叱責を口にすると赤石はしたいがままに腰を打ちつける。一突きされるごとの衝撃に富樫がひいひいと畳の上でのたうった。放り出されたシャツが遠く白く 光っている。脱がされたのは午後で、既にもう夜で窓の外は真っ暗。されるがままの富樫は意識のどこかで赤石の精力の強さに驚き呆れた。
「ひっ、ひぐぁああッ!あ、あはっ、うう、がァ、あああ!」
わき腹が呼吸に波打ち、とうとう富樫は布団を手放して赤石の太い首へとかじりつくようにしがみつく。
赤石のたくましい肩口へこすりつけた富樫の顔が濡れているのに赤石は気づく、泣いている、そう思うと胸が躍る気がした。
ずじゅっ、ぶじゅっ、前回中に出した精液が張本人である赤石のもので今度は掻き出され、畳へと滴る。
「はあっ、あっ、あ・アッ、ああ・あああ」
美貌があるわけでも、女のようであるわけでもない、むしろむさくるしい男が乱れむせび泣いている。
切ない声でもう止してくれ、そう訴える富樫の声に赤石はますます腰を打ちつける。それもでたらめな動きではなく、今までの交わりで得た経験上富樫がもっと も大きな声を上げる部位を狙い打つ。
おもしろいように富樫が跳ねる、赤石の首へ右手でしがみつき、左手の拳は背中を打つ。それも力を失ったノック程度の拳がよわよわと背中を打った。
「もう、勘弁してくれ…!!し、死んじ、死んじまっ…」
「死んでみせろ」
これぐらいで死ぬわけがない、何を軟弱を抜かしてやがる。赤石は獰猛に笑った、笑うと目尻に皺が出来て溜まっていた汗が滑り、富樫のこめかみへと落ちた。
赤石の指が富樫の萎えて腹に垂れていたペニスを掴む、自分も持っている繊細なものであるという意識があるか無いか、乱暴に掴むなりぬるぬるとそれを上下に 扱いた。中中張り詰めてはこない、何度出したか数えては居なかったが種切れに近かった。イきたくともイけない状態を既に富樫は長時間にわたって味わってい る。
「し、ほんとに、もう、出ねぇんじゃ…もう…っ!」
「泣き言はいらん」
苛立たしげにささくれた指の腹で表面を擦ると、次第に芯を持ち始める。
赤石も限界が近いというのにまるで中から抜く気配は無い。

赤石の首にひっかかっていただけの富樫の腕がぱたぱたと落ちた。もはや木偶、脚だけが硬直してしまったかのように赤石の腰へ絡んでいる。
「はぁっ…はっ、はっ…は、はあ、…あ、ア」
「弛い、」
言うなりにぐ、赤石の指が富樫のタマを掴み、ごりごりと擦り合わせる。ぶん殴られたような激しい衝撃に富樫の腰が大きく跳ねた、同時にアナルがきつく締ま り富樫の脈と連動するように緩急をつけて絞り上げていく。赤石が満足そうに目を細めた。


「出すぞ」
「まっ、待て、まっ…あああああああ!」



「『クウ、ネル、メシ』みてえにヤるの、止めろよ…」
「……それは、俺に睦言でも言えと言うことか」
「ち、違わい!!」