日本文化というものはいい。
日本はとてもきれいで、言葉が優しくて、素敵なのだとマムは言った。
俺もそう思う。四季があるなんてなんて不便だと最初思ったが、こうして暮らしてみるといいものだと思えてくる。
だがまだ俺には日本語は難しいようだ。
Jの舌がそっと伸びて、先端の窪みへ震えながら到達した。
そのまま舌の面積を大きくとってぺたりと這わせ、舐め上げる。支えに掴んだ右手の中でそれがかすかに脈打った。
「ム」
Jは目をきつく閉じている。桃がそう言った。
『最初は目を閉じてやると抵抗が少ない』
だからJは言われるままに目をきつく閉じ、ぺろりぺろりとおっかなびっくり舐めている。
丁寧で慎重、Jの舌にためらいがなくなり、単調に舐め続けるのを感じ取ってから桃はJの首筋へと指を這わせた。
「これが尺八さ。どうだ、J」
フフッ、桃がくすぐるような笑い声を立ててJの首筋で指先を遊ばせている。その指が悪戯にJの襟へと忍び込んでいく度にJの背筋が強張った。
「……桃、これは…」
これは本当に尺八か、言いかけてJは言葉を切った。舌を這わせ続けていたせいで、Jが喋った震動に桃のそれがひくひくと震えたのに驚いてのことである。
「ツ、J…そう今の調子でもう一度だ」
桃の指先がJの耳殻を捉えた、戯れにくすぐっては軽く引く。
指先よりも、桃の声に含まれた微かな詰まる息遣いと熱がJを従わせた。
再び目をギュッと閉ざして、意を決してもう一度舌を伸ばす。触れた、べたべたと包み込むように満遍なく舌で触れ、先端へと這い上がる。
意識せずとも先ほどのように舌がぶるぶると震える、先端にたどり着くと、
「お前も知っているだろ?気持ちがいい所は俺も同じさ」
耳の穴に桃の小指が差し込まれてぞわぞわと震えた、詰めていた息を解放し、舌を細く尖らせる。
尖らせた舌先で先端の窪みを二三突く、じわりと滲み出してきた液体の匂いにはJ自身覚えがあった。
言われたわけでもないのに、ぐるりと舌先でもってその窪みを抉ってみる。桃の腰が揺れた。
「フッ、……Jその調子だ」
床についた膝が痛む、それをあえて無視してJは桃の性器に舌を這わせた。
言われるまま先端の張り出した部分を下から上へ満遍なく舐め上げる。嫌悪感やためらいがなくなって、Jのそれが単調な繰り返し作業となるまで桃は待った。
「さて…それじゃあ口に入れて、吸い込むんだ」
「吸い込む?」
という事は舌だけで触れていないで、口に含め。そう桃は言っている。さすがにJの鉄面皮にもためらいが渋となって生まれた。
「……J?」
桃が辛そうに眉を寄せて、頼み込むように見下ろしていた。Jはその目に射られて居心地の悪い思い。
同じ男だからわかる、こんな中途半端に、たった先っぽを濡らされた状態で放り出されることの辛さ。
「……」
意を決して張り出した先端を丸ごと口に突っ込む、歯がカチリと当たった瞬間、椅子に腰掛けた桃の腰が軽く浮いた。
「おいおいJ、張り切ってくれるのは嬉しいが…噛まないでくれよな」
Jの頬が赤くなる。それを振り切るようにJはぐるりに舌でなぞる。頬の内側へ力を入れ、口内で真空を作るようにしてギュウと絞るようにして吸い込んでみる
と桃が満足そうな吐息を漏らした。
「ああ…J…上手じゃないか。俺に教わるまでもねぇ、さては誰かに教わってたな?」
「………」
否定と怒り、それらをJは棹へ軽く歯を立てることで表した。苦笑と同時にJの頭に桃の両手が下りてきて、短い髪の毛をかき回す。
ひやりとした指先が耳を弄ぶ、Jは吸い込んでは先端の尿道へ舌先をねじ込んだ。頭で動くのではない、体が自然と動くのだ。
「…フフッ、情熱的だな。それなら俺も…」
言うなり桃の指がJの耳を摘んだ、正確には耳と頭を包むようにして抱え、Jの頭を持ち上げさせる。
言われたとおりに頬張っていたのに、とJの顔に不満そうな色がある。桃はその濡れた唇に笑んだ。
桃がJの頭をそのまま上下に振り立てる。口を開きかけていたJはそのまま唇をズボズボと濡れた音を立てて犯された。息継ぎなどお構い無しに桃に無理矢理唇
と舌でもって、桃の性器を扱かされる。それがあんまり激しいので頭はシェイカーにかけられたようになり、鼻息と熱気に目の前がかすみ、息苦しさに半ばぼ
うっとしかけた。
「ウ、ぶッ!グ、ぐむうッ!?ッう、うう!!」
唾液が桃の性器へ絡みつき、濡れそぼって滑りがよくなったそれに唇が捲られるようになり、Jの顔を歪めていく。
桃の股間にほぼ顔を埋めさせられ、Jはくぐもったうめき声を立てながらも健気に、歯を立てぬようにそればかりを心がけていた。
目じりに涙を浮かべ、赤子のような小さな声を漏らしながらも舌を絡めるJを満足げに桃は見下ろしている。
「うッ、ぐ、グッ…ふうッ、う、うう、うううッ」
普段表情の硬い頬が真っ赤に火照り、引き結ばれていた唇は先走りと唾液に濡れ、顎までも汚していた。
時折不安げにJが目を細く開き、上目見るのが、たまらない。
桃は含み笑い、時折Jの喉を腰を揺らして突き上げながら高ぶっていく。突き上げられるたびにJが呻き、恨みがましい視線をもたらすのが、たまらない。
絶頂まであとわずか。せっかくだから顔にかけてやろうか、それとも口に出して味を覚えさせてやろうか。桃の楽しみもいよいよ広がる。
馬鹿だなJ、尺八を教えてくれって?
それで今これが尺八だって?
まあいいや、騙されてくれているんだ。
後で俺が尺八を教えてやるよ、今度はお前のを俺が。