手酷い裏切りだ。手酷い裏切りだ。
俺から逃げようって?どこの誰とも知らねぇ女に俺を押し付けて、一人善人面しようって?
伊達は容赦なく、羅刹の鼻面を拳で殴り飛ばす。
手酷い裏切りだ、ああまったく手酷い裏切りだ。
あんたは俺を懐かせておいて、そうして放り出す。





男が二人同じトイレの個室に居る。大変におかしい。
そのうちのひとりは全裸で、便座の上へ座らされている。
滑稽だ、おかしい。
清掃中の札は全てを笑っている。




清潔なトイレの大便器ぐったり座り込んだ羅刹の前髪を握り、上を向かせると鼻血塗れのその顔面へ伊達は精液をぶちまけた。
欲情からの精液ではない、単なる相手へ屈辱を与えるための手段として伊達は無数の子種を貶める。
「…ぐッ、伊達、おまえ」
「なんだ…イッたらもよおしたな、おい、股開いてソコあけてくれよ」
「何、」
羅刹が顔を上げると、伊達はソコだよ、と冷ややかな笑みを浮かべたまま便器を指差した。
のろのろと伊達に言われたまま立ち上がりかける羅刹へ、伊達は舌打ちで答える。
「誰が立っていいっつった、膝抱えてケツマン広げろって言ってんだ」
「なッ!!?」
怒りに顔を上げた羅刹に、あくまで伊達は命令を続ける。
「小便したら服、返してやるよ。ほら、それとも顔にブッかけられてぇか」
眼前へ突き出された伊達の生気から、羅刹は顔を背けると俯く。
押し黙った羅刹は内腿と背筋を怒りと寒気に震えさせながら、便器の上で自ら裸の膝を抱え、大きく左右に開いた。
羅刹の脚の間へ伊達が便器へ水音を立てて用を足すのを、羅刹は屈辱と恥ずかしさに声を殺してそれを見ている。


トイレへ押し込まれてまず、服を全て脱ぐように命じられた。当然反抗すると、無理矢理上着が力ずくに引き毟られる。実力者である伊達は、このまま反抗を続 ければ服を全て破いてでも構わないと無言で示して見せたのだ。
清掃中の札を立てられた男子トイレの奥の個室で、羅刹は下着すら許されず自らの手で全裸となる。
その気が遠くなりそうなほど現実感の無い光景を、伊達は醒めた眼差しで見ていた。
羅刹が全て残らず脱いだその服を伊達は手にし、

「俺の見合いをセッティングしてくれたんだって?……どうも、ありがとうよ」

酷く冷たい顔でそう言って、隣の個室へ仕切りの上から服を投げ込んだのである。
その行動に、なにより伊達の眼差しに声に羅刹は背筋の寒いような思いをした。




裸の羅刹を立たせると、壁に手を突いて尻を差し出すように伊達は命じた。言われるがまま羅刹が物言いたげな眼差しを外し、尻を突き出す。
その窪みがたくましさを目立たせる尻を伊達は一撫でし、割り開くと慣らしもせずに性急に後ろから腰を進めた。
歯を食いしばり、声を殺す羅刹をあざ笑うように伊達は後ろから角度を奔放に変えては突き上げる。そろりそろりと蜘蛛のように手が羅刹の胸を這い回り、寒さ に硬くしこっていた乳首を捉えるなり爪を立てた。
「あウッ!」
背中をしならせて突然の痛みに声をとうとう羅刹は漏らす、そこを目掛けて伊達は更に抜き差しを速める。短い喘ぎ声が漏れ始めた。
「う、うぐッ、ン・んぐ…うう、あゥ…っ、は、ぁ、ああ・ああ、う」
くぐもった喘ぎが時折あまやかなものへ転じる、それは伊達が乳首へ爪を立てるのとほぼ同時。汗ばむ背中へ頬を寄せながら伊達は笑った。
「あんたは胸がイイんだったな、女みてぇに」
「き、さ」
貴様、言いかける前に伊達の手のひらが空気を切って羅刹の尻たぶを叩いていた。
「んああッ!!」

仰け反って羅刹が高い声を上げた、自分でも驚くほどの声に、羅刹の頬がカッと赤くなる。
容赦なく伊達の手のひらは羅刹の尻が赤くなっても構わずにムチがしなるような音を立てて叩き続ける。
羅刹は子供のように尻を叩かれて声を上げた。しかし一旦上がった声は止めようが無い、それどころか、

「あんたの尻、叩かれると締まるんだな。具合がいいぜ……呆れた変態だ」
「うあああっ!!」

一際高く尻を打たれたと同時に、羅刹のペニスは一度たりとも触れられていないというのに精を噴き、精液は真っ白な便器へと滴っていく。

その様を見ながら、伊達はどこか言い聞かせるような口ぶりで、

「俺が結婚したら、あんた寂しいだろ。あんたのケツマンに突っ込んでやろうなんて物好きなんざ、俺ぐらいだからな」




裸の胸を上下させながら、羅刹は呆然と震えながら伊達の精が注がれるのを感じていた。