富樫の脚が腰にぐるりと絡みついたのを感じ、桃はにっと歯を見せて笑った。
「うあっ、も、テメ」
テメェ、と富樫が裏返った声で俺を咎める。
突っ込んだっきりチラとも動かねぇで、ただ富樫の顔の両脇に手をついて見下ろしてるだけ。さんざん指でぐちゃぐちゃ引っ掻き回してやった後でそれじゃ、到
底足りねぇだろう。腰がひくひく浮いて、いやらしいったらねぇぜ。
テメェ、富樫は喉の奥でクゥウと唸ってとうとう俺の腰に脚を絡めてきた。女がするみてぇに。
わざわざ俺の腰に絡んでる富樫の脚をチラッと見て、笑ってやると怒ったらしい。ごつんとカカトが俺の腰にぶつかってきた。
「痛っ」
「桃、テメェどういうつもりじゃ」
富樫の手が伸びてきて俺の耳たぶを掴む。ぞんざいな力加減でそのまま引っ張られて、汗ばんだ顔が近づいた。弟に小言言うみてぇな格好にしては富樫の息遣い
がなんとも淫ら切羽詰ってたんで俺はニヤけっちまう。
「フッフフ痛ぇな、どうってのは、どういう事だ?」
「てめェ」
富樫が俺を殴ろうとか、腕を振り上げた。俺はその富樫の手首を掴むと布団へ押し付ける。布団の上でたまにはやるのもいいな、いかにもやっているって気分
で。よくシーツに広がる髪の毛がイイって言うけど、なるほど道理だ。キスして腰砕けにしてやってから、どうする?って顔をするんだ。そうすると富樫がわざ
わざ俺とやるために布団を敷いて、いかにもシブシブ乱暴に新しいシーツを広げるってのがいい。たまらねぇ。
その一部始終を俺はただ見てただけ、俺の視線に富樫が手伝えってムクれるのも、またいい。
そんなことを俺が考えているのも知らずか、富樫の両腕をあっという間に俺は布団にねじ伏せた。痛いのかもしれねぇ、富樫の締め付けが急に強まって、
「ふっ」
俺の背中が震えた。
「うううッ…も、桃…桃っ」
富樫の腹の上でぬめりながら反り返ってる富樫のイチモツ、ああ多分しごいて欲しいんだろうな。俺の突っ込まれたまま、前立腺だって擦ってやってねぇ。
さっきローションでヌルヌルにしてやってからほったらかし。男なんだから触ってやんねぇと、いけやしねぇんだろう。つらそうだ。
手首を掴む富樫の手に、更に力を入れる。更に締め付けが強まった。
「フッフフ、富樫…お前マゾッ気があるんじゃねぇのか?」
「るせっ、それより、テメェ人ン中ァ居座っといてボサッとしてんじゃねぇ」
不精が過ぎるときたか。どうしようか、そろそろ動こうか。でももう少しこの切羽詰ったお前を見てたいんだけど。
俺が尚も動かないでいたらいきなり富樫の手首、脈が強まった。掴んでいた手首ごと引っ張られて、身体の上下を力ずくで入れ替えてくる。
瞬きを一つするあっという間に俺の上に富樫が馬乗りになった。実は富樫がさせたいように俺も体重移動に力を貸してやったんだけど。
はぁはぁはぁ、ってお前、犬みてぇだな。撫でてやろうか、いろんな所を。
撫でて撫で回してやりてぇところだったけど、俺がしていたそのまま富樫の手が俺の手首を押さえつけてる。
「………」
俺の上に跨ったまま、富樫がゆっくりと腰を動かしてくる。俺の顔なんか見ないで。
ちぇっ。
「富樫」
俺が呼んでも、富樫は眼を瞑っちまって聞く気がねぇって全身で言ってる。
「富樫」
「………はっ、…は、…うう、あっ」
ずっぷり俺をケツにくわえ込んどきながら、俺自身をほっとくなんて寂しいことするなよ。
「すまん」
詫びると富樫がうっすら眼を開いて、俺を睨む。
「なぁ、すまん」
「……てめぇのそういうところが…でぇ嫌ェじゃ…っ」
…お前の大嫌い、いいな。
「んッ、て、デカくしてんじゃっ…」
「富樫、キスしたい」
富樫が震えた。乙女か、お前は。ソレも悪くねぇな、乙女なお前をぐっちゃぐちゃに犯してって安物のビデオみてぇで。お前の大好きな清純派ポルノそっくりだ
ろ。
「それからケツにたっぷり出してやるよ、好きだろうお前、中出し」
「!」
富樫が怒ってもう止めるって言うのを無理矢理篭絡してやるっていうのが、最近俺はクセになっちまったらしい。