自分でくわえようとして前転
パイズリというものを試したいと、虎丸は真剣に言い出した。
伊達はとりあえず虎丸の尻を蹴っ飛ばして、ボロアパートの窓から突き落とすことにした。
お互い金の無い時代である。虎丸も給料が入ってすぐにキャバクラに行くことはあったが、行っても生来のサービス精神が災いしてか、指名してよ指名してよフ
ルーツ食べたい、そんな可愛い女の子達のオネダリにすぐさま財布を減らすことになる。
そのたび給料日前になって、金がないから飯を食わせてくれと伊達のアパートへ転がり込むのであった。このアパートは伊達が用心棒を務めるキャバレーのス
タッフの独身寮であり、ここの用心棒も兼ねる事で部屋を無料で貸してもらっている。
文句を言いながらも風呂を使わせてやった上、さっきも飯を食わせてやった伊達へこんな事を言い出すものだから伊達の怒りは大きい。
怒っている自分に対する怒りもあり、伊達の皮膚の薄い額には青筋が浮かんでいた。
外は夕方に降った夕立のせいでムッとするような湿気があり、窓を開けると繁華街に近いせいで、中華料理屋の匂いや、生ゴミのような臭いがする。
そのため窓を閉め切っているため、部屋の中は酷く蒸した。暑苦しさに伊達の物言いの鋭さは磨かれていく。
「パイズリがしたいんじゃ」
「…ならとっととソープでも行くんだな」
「金が無ェんじゃ、知っとるくせに」
脚をばたつかせる虎丸は既にフルチンである。伊達は毛が(どこのとは言わない)落ちるから何か穿く様に言ったのだが、替えを持ってきていないと返されてし
まった。自分のを貸すのは真っ平。見慣れたフルチンのチン、竿の部分が愉快に揺れているのを伊達は精一杯の蔑みの眼差しでもって見下ろしてから、
「あんまりうるさくするんなら帰れ」
冷たく命じた。伊達もシャツをかなぐり捨てるように脱ぐ、こんなに蒸し暑い上に虎丸なんぞが居ては平和に眠る事なぞできそうも無い。上半身裸になった伊達
をつくづくに虎丸は眺めると、ハァーアと大げさなため息をついた。
「……何だ」
「伊達、おめぇオッパイないのう」
「たりめぇだろうが!」
伊達の長い脚がビュンと伸び、虎丸の腹へと吸い込まれた。ドボッと妙な声を上げ、虎丸は背中を丸めて悶絶している。
「ぐ……てめぇ伊達、いってぇじゃねぇか!」
「てめえがあんまりアホウだからだろうが!」
「にゃっ」
なにを、と言おうとして噛む。そんな虎丸の舌ったらずなところに一一反応してしまう伊達は自分を恥じた。
にゃむにゃむ、と口をもぐもぐさせている虎丸の前に腰を下ろして、部屋干しのジーンズを眺め上げる。
「だいたい、俺に乳があってたまるか」
「……ないの?」
「見ればわかんだろうが!!」
どこかズレた反応をされ、とうとう伊達は虎丸の両手を掴むと自分の胸板へと押し付けた。虎丸のあたたかい手に、伊達の胸板の奥は少しばかり鼓動をはやめ
た。伊達は自分でやらせておいて焦るが、顔には死んでも出さない。
筋肉によるかすかな隆起はあるものの、羅刹や富樫が持つような盛り上がりは無く、あくまで胸板の一環として平らかである。
伊達の胸板へ両手のひらをくっつけたまま、虎丸は揉むような動作を一度か二度取ってみて、
「おっぱい、無いのう」
当たり前のことをしみじみ、わざわざ肩を落としてつぶやいた。伊達の怒りが火柱となって立つ、
「女とじゃ出来ねぇだろうこと、してやるよ」
獣スイッチオン、唇をチラりと舐めた伊達は虎丸の両手首を掴むなり、布団を敷く前だった床へ組み伏せにかかる。
背中からドサリと落ちた虎丸はようやく何やら、虎の尾を踏んだらしい事に気がついた様子。
「ギャッ、伊達、タンマタンマタンマ!」
「寝ぼけた事抜かすんじゃねえ。こんな時にタンマがありかよ」
どこかの白ハチマキも同じような事を同じような状況で言っているかもしれない。
脱がす手間どころか、情緒も何もないフルチン姿の髭面相手だと思うと、少しばかり伊達のサオも元気をなくさないでもなかったが、こうしたことは勢いであ
る。伊達は手近に転がっていたパッケージへ手を伸ばす。もちろんそのパッケージは薬局やコンビニで売っている家族計画に欠かせないゴム製品のものである。
が、
「ソレだ!!!!」
突然虎丸が大声を上げて伊達を押し返しながら起き上がり、そのパッケージをひったくった。あっけに取られた伊達に、
「伊達、ちっと湯もらうぜ!!」
と言って、フルチンのまま台所へかじりつく。ゴムを開封するとローションを落とさないよう気をつけながら、蛇口から恐る恐る湯をゴムへ流し込んだ。
たちまちにゴムがぷわっと膨れていく、虎丸は熟練の職人の目付きで持ってその大きさを推し量っている。
伊達は放り出されたまま、蛇口へかかりっきりの虎丸の尻を呆然と見ていた。
ローションにヌルヌルぬめるゴムで作った風船を二つ手に、虎丸はホクホク顔である。
「どうじゃ伊達、わし、賢いじゃろ!」
「…いや、てめぇが何をしてぇのかまるでわからん」
「こうするんじゃ、ホレ」
言うなり伊達の前にしゃがむと、伊達の息子を引っ張り出した。虎丸の手がローションで濡れているために、それはもうアレな感触。伊達の腰が引けた。
「っ…!?」
「本当なら先わしがやるんじゃけど、一番チチは譲っちゃるわい」
チチ。
ぬるま湯で膨らませたゴムを擬似おっぱいに見立てパイズリ、中学生あたりがセルフフェラを試みるのと同じくらい阿呆な事を今虎丸はやろうとしている。
「よせ、ボケがっ…!」
「エート、こうやってオッパイで挟んで、ヌルヌルーッと…」
「ウッ、てめぇ、ボケ丸…!!」
さて前述のセルフフェラであるが、試みた者のほぼ九割がそのまま前転するという世にも間抜けな結果を出している。
ならばゴムの擬似おっぱいによるパイズリは?
「アッ、やぶけた!!」
股間をビショ濡れにされるという辱めを受けた伊達、フルチンの虎丸を窓から思い切り尻を蹴飛ばして夜の闇へと突き落とした。
「にゃ、ふわああああああああ〜ぁあああ!!!」
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