拍手桃富樫夫婦

愛のためなら 女房も泣かす


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桃富樫同居の日常。

家賃半分、なんと魅惑な四字熟語。
料理洗濯掃除交代制。
おい桃テメーゴミ出し忘れてんじゃねーよ。くせえぞ。
富樫、お前がアイロンかけたシャツ、皺だらけだぜ。

そんなこんなで、男やもめに愛が咲く。


「おい富樫、お前なーに怒ってんだ?」
豆乳パックのストローをグジャグジャに噛み潰しながら、渋い顔の友人に秀麻呂は声をかける。
「どうもこうもあるかよ、秀。桃の野郎あいつとんでもねえや」
「とんでもねえ?」
おうよ、と富樫は膨れた。

「あの野郎な、俺がアイス食いてェって言ったらああわかったって言ったんだよ。そこまでァいいや、だがな」
だがな、で一旦言葉を切る。苦々しげに鋭い眉が寄る。


「あの野郎コンビニでハーゲンダッツ買いやがったんじゃ!!!」
「酷ェ!!」
「桃最低じゃな!」
「よりによってコンビニでか!!」

一同大いに憤慨した。
まったく生活と言うものを知らぬ相棒を持つと苦労するぜと、富樫は空になったパックを握りつぶして捨てた。
富樫は知らない。
家に帰ると桃がお玉を吊り下げる吸盤フックを普通のスーパーで\698購入していることを。
「ひゃ、百円ショップで買わんかい!!」




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桃富樫同居の日常。

家賃半分、なんと魅惑な四字熟語。
料理洗濯掃除交代制。
おい桃テメーゴミ出し忘れてんじゃねーよ。くせえぞ。
富樫、お前がアイロンかけたシャツ、皺だらけだぜ。

そんなこんなで、男やもめに愛が咲く。


「あー…昨日飲み過ぎちまったな…頭痛ェ」
土気色の顔でのそのそと富樫が布団から起きてきたのは八時過ぎ。水、水、と富樫が台所にふらつきながら向かうのを桃は手助けし、コップに水をくんでやる。
それをありがたく受け取ると唇からぼたぼた垂らしながら美味そうに飲んで、ああと濁った声を漏らす。
「大丈夫か?フフフお前ときたら節度ってモンを知らずに飲むからだ」
「ああわかったぜ、次にゃ気をつけて飲まァ」
「そのセリフ何度聞いたことか…おい、どうだ?」
「ありがとよ、もういいぜ…何か食ったほうがいいな」
「そうだな俺も何か…面倒だ茶漬けでいいだろう」
「そうすっか」

ヤカンがピイピイわめくのを待って、茶碗二つに飯をよそう。飯が少ないほうが茶漬けに向いているとわかっていても、若い男ふたりである、しっかり一人前ず つよそってある。
富樫はおもむろに永○園のあの黄色と緑と黒との縞々パッケージをやぶく。そして――

「それがどうしたんだよ」
伊達は苛立ちながら続きを促した。わざわざノロケにでも来たのかと桃の顔を睨む。桃は伊達が出してやった薄い出がらしをすすると、ああ、と沈んだ声で続け た。
「お前も茶漬けぐらい食べるだろう」
「まあな」
「富樫は永○園のふうを切ると――俺と、あいつの茶碗それぞれに振りかけたんだ」
「あ?」
「俺は、富樫にどうしてと聞けなかった。あいつが当たり前の顔で、二つの茶碗に一つの茶漬けの素を振りかけるのを…ただ黙って見ていた」
情けねェ話だ、と桃はうつむく。

「……まあ、味は薄かったろうな」
伊達は自分は何を言っているんだろうかと暗い気持ちになった。桃は首を横に振る。
「醤油を足したさ。…俺の茶碗はノリばっかりで、アラレはほとんど富樫の茶碗に入ってた」
「知るか」





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桃富樫夫婦同居の日常。

家賃半分、なんと魅惑な四字熟語。
料理洗濯掃除交代制。
おい桃テメーゴミ出し忘れてんじゃねーよ。くせえぞ。
富樫、お前がアイロンかけたシャツ、皺だらけだぜ。

そんなこんなで、男やもめに愛が咲く。


「桃、最近水道料金がまた上がったらしいのう」
明細を見ながら富樫は渋い顔だ。家計簿なんて軟派なものはつけていないが、それでも最近ガス代水道代が家計を逼迫していることは明らかだ。
「そうか、水…節約するしかねえな」
「おう、そうじゃ桃こないだ俺テレビで見たんだがよ」
富樫はちゃぶ台から思いついたように立ち上がり、空の茶のペットボトルに水道の蛇口から水を詰め始めた。
桃はそれを興味深げに見ている。
「それを…どうするんだ?」
「ヘッヘこれをよ、風呂にいれんのよ。そうすっと湯をたいして入れなくってもカサが増えらぁ」
「…なるほど、そうすれば水の節約になるということか」

感心したように桃は二度頷いた。富樫も鼻の下を擦っている。

「だが富樫、これには一つ欠点があるな」
「あんじゃい」
「…ペットボトルを満たす水がもったいないな」
「………」
「だが富樫、お前の目の付け所は悪くねぇ、そこでだ」

「毎日風呂を一緒に入ればいいのさ、俺とお前が一緒に入りゃ風呂なんか湯を少しでも十分だろう」
「おお、桃!さすがじゃ!」



富樫と書いて馬鹿と読む、秀麻呂の言葉である。

モクジ
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