ここが限界
這うのは舌だ。
「桃、いい加減にしやがれ」
語尾が乱れた。
畜生。桃が笑う。
畜生め。伊達は毒を吐いた。
「笑ってんじゃねぇ」
「伊達、お前が」
愛しいのさ。愛しいだとかそんな馬鹿馬鹿しい、薄ら寒い詐欺師のような言葉が良く似合う。
桃の言葉は常に真実で、それなら伊達の言葉は?
「止めろ、もうたくさんだ」
「伊達、お前は嘘つきだから――止めない」
桃は本当に、伊達が輪郭を失って溶けそうになるまで止めなかった。とろとろ、とろとろ。
伊達はとろとろの顔で目で声で、
「愛してるぜ」
と言った。
桃がどんな顔をしているかは、目を閉ざして拒絶する。代わりに鋭敏になった肌に神経に、這うのは舌だ。
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